定年退職後、セカンドライフとしてあたらしいことに挑戦する元気な人がいる一方で、「ずっと家にいる」「急に元気がなくなった」といったように、活動意欲が低下してしまう人もいます。この違いについて、脳科学者の茂木健一郎さんは、「脳に新しい刺激を与える『生きがい』を持っているかどうかだ」と語ります。今回はそんな茂木さんの著書『60歳からの脳の使い方』から一部を抜粋し、ご紹介します。
真面目になるな。いい加減であれ!
60代以降、真面目な人ほど意識してほしいのが、「いい加減になること」です。
本記事でいう「いい加減」とは、自堕落な生活をしろという意味ではありません。言い換えれば、過去にとらわれない生き方です。
過去に自分が言ったことや取った行動にこだわらず、その時々の状況や感情に素直に反応し、柔軟に対応する。「過去にこう言ったから現在もこうしなければならない」というように、自分の過去の言動に縛られないことを意味します。
多くの人は「いい加減」という言葉に対してネガティブな印象を抱くかもしれませんが、これは必ずしも悪いことばかりではありません。状況や気分によって意見や行動を変えることは、一見すると「行き当たりばったり」と映るかもしれませんが、それはむしろ柔軟性の証。「今、この瞬間」を最も大切にしている姿勢とも言えます。