回復ではなく機能喪失が起きてしまう
かつては「痛みがあれば安静に」「年齢とともに無理をせず」が定説でしたが、現代の医学では「過度な安静が逆に病状を悪化させる」ことが解明され、数多くの論文や医学的根拠が発表されています。
過度な安静は、次のような疾患をもたらす恐れがあるのです。
1:筋力の低下→1日寝たきりで過ごすと、背筋・大腿筋を中心に筋力が1〜3%低下し、それが1週間続くと10%以上失う可能性あり
2:骨密度の低下→骨への荷重が減って骨吸収が進行し、骨粗しょう症が悪化する
3:姿勢アライメント(関節や骨など体の各部位の整列具合)の悪化→寝たまま、もしくは前かがみの姿勢を続けていると、脊柱後弯の進行を助長する
4:呼吸機能の低下→背中が丸まって胸まわりの骨が動きにくくなることで、肺活量が低下し、誤嚥性肺炎のリスクが増す
5:心理的な影響→活動低下によって意欲が喪失し、うつ傾向(不活動症候群)をまねく
これ以外にも、「入院中の高齢患者の約3分の1が、退院時にADL(日常生活動作)レベルが低下していた。すなわち、安静を強調しすぎた結果、回復ではなく機能喪失が起きていた」など、数多の報告がなされています。