ロコモが進行すると「要支援・要介護」の状態に
なぜここでロコモの話題を持ちだしたのか。
それは、1から3に該当するすべての状態・疾患が、腰部脊柱管狭窄症や脊柱変形とそれにともなう脊柱後弯、すなわち「背中の老い」に密接に関わっているからです。
ロコモは気づかないうちに進んでいくものなので、まさに「見えない敵」といっていいでしょう。
掲載した資料のとおり、70代女性の30%、80代女性の44%が骨粗しょう症に、男性の80%、女性の65%が変形性腰椎症に、80歳以上の男性の32%、同じく女性の48%がサルコペニアに、それぞれなるというデータがあります。
とても高い確率であり、みなさんも他人事ではありません。
ロコモが進行すると、背中が老いていくだけでなく、移動機能が総じて低下していき、自分ひとりで生活することが難しくなります。
つまり、要支援・要介護の状態になってしまうということです。
体を思いどおりに動かせなくなると、機能低下はさらに進み、寝たきりになる可能性も高まります。
そうならないためにも、早期のロコモ対策は欠かせません。
高齢者になり、「これはまずい」と思ったときには手遅れになってしまいます。たとえ自覚症状がなくても、若いころから運動習慣を身につけるに越したことはないのです。
このほど開発した老い出し体操は、脊柱後弯の予防・改善のみに効果があるわけではありません。
ロコモを構成する3つの障害と、それに端を発する疾患の予防にも、大きく役立ちます。
老い出し体操は、健康的で幸せな老後を送るために必要不可欠な万能の体操―そう表現しても決して言いすぎではないのです。

『人は背中から老いていく』(著:野尻英俊/アスコム)