太田 精神的な距離が近い親子の関係がこじれやすいのは事実。それとは別に、親が年を取って気力体力ともにままならなくなっていき、子は心身ともに現役となると、親子の力関係が逆転するのは自然の流れとも言えます。たとえ親側の家での同居でも、親は弱い立場に追い込まれていくことが多いのです。
吉永 だからこそ、子が成人したら、双方のためにも大人同士の関係に移行するのが大事だと思う。私には、別れた夫(騎手の故・吉永正人さん)の連れ子3人と実の息子がいますけど、どの子も20歳で家を出すと決めていました。
太田 さすがですね!
吉永 そうは言っても、一番上の娘が独立した時は、22時に電話して留守だと心配で。10分おきにかけ続け、精神的に疲労困憊。見えない娘の姿を見ようとしてはいけない。何があっても私が覚悟すればいい、と悟るのに数ヵ月かかりました。(笑)
太田 離れて暮らしていても、親子の縁が切れるわけではないですからね。お子さんたちとは、どのくらいの頻度で連絡を取り合っているのでしょう。
吉永 私から連絡することはまずないけれど、子どもたちからは時々LINEが来るかな。私が出演するテレビのレギュラー番組をチェックしていて、「今朝、出演していなかったね。具合悪いの?」とか聞いてくるから、「元気だよ、いま旅行中。死んだら連絡行くから心配するな」って言ってるんだけどね(笑)。そんな感じの気楽な関係です。