右から、稲垣えみ子さん、吉永みち子さん、小谷みどりさん(撮影:木村直軌)
おひとり様として迎える将来、多くの人が不安に感じているのは、健康、お金、孤独と言われています。ひとり暮らし真っただなかの《達人》たちは、どのような備えをしているのでしょう(構成:山田真理 撮影:木村直軌)

前編よりつづく

お金の不安はあれど、いまを楽しむ

小谷 物価高や年金問題……、老後のお金の悩みは尽きません。

吉永 私はずっと自由業だったから、国民年金が月6万円弱だと前々からわかっていた。働けなくなったら何が私を助けてくれるだろうと考えて、住まいを賃貸から分譲に替えました。

50歳を過ぎるとローンを組むのも難しくなると聞いて、その前に駆け込み購入。返済が滞っても困るのでしゃかりきに働いて繰り上げ返済し、60代で完済しました。いまも働き続けています。

小谷 女性は、国民年金だけが老後の収入源という人が多いので、長生きリスクとお金の問題は依然として深刻な問題ですね。

稲垣 私は、3・11の原発事故をきっかけに節電生活を始めました。冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などの電化製品を手放し、「なくても案外なんとかなる」とわかったことが、お金を含めた老後の不安の解消につながっています。

会社を辞めることができたのも、ないならないなりにやっていけばいいんだなと思えたから。家賃の安い部屋に引っ越して、光熱費は最低限。食事はほぼ自炊で一汁一菜となれば、暮らしにかかるお金はびっくりするほど少ないし、規則正しい粗食生活なのでとても健康(笑)。

家賃が払えなくなったら、もっと小さくて安い部屋に引っ越すか、友達の家に居候させてもらうつもり。