心優しい第2の転機。蔵之介さんの演技をご両親に褒められたことは?
――ウーン、父は9年前に亡くなっているんで、僕が観てもらいたかったプルカレーテさん演出の『リチャード三世』(シェイクスピア)も『守銭奴』(モリエール)にも間に合わなかったんですが、芝居を観に来てくれた時は、ダメ出しされたこともありましたね。
父は一時期、詩吟をやってましたから発声には厳しくて、「台詞を言う時は、川向こうの人に届くような発声をしなあかん」って。一方、母は「上手にやってたよ」って。これじゃ、学芸会レベルの褒め方ですよね。(笑)
<後編につづく>
ヘアメイク:
晋一朗(IKEDAYA TOKYO)
スタイリング:
勝見宜人(Koa Hole inc.)
出典=『婦人公論』2025年9月号
佐々木蔵之介
俳優
1968年京都府生まれ。大学在学中に劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加。退団後、上京。2000年にNHK連続テレビ小説『オードリー』で注目を集める。主な出演作に、映画『超高速!参勤交代』『空飛ぶタイヤ』『空母いぶき』、舞台『冬のライオン』など
関容子
エッセイスト
雑誌記者を経て、エッセイストに。1981年『日本の鶯――堀口大學聞書き』で日本エッセイスト・クラブ賞、角川短歌愛読者賞受賞。96年『花の脇役』で講談社エッセイ賞、2000年『芸づくし忠臣蔵』で読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞。『勘三郎伝説』『客席から見染めたひと』ほか著書多数。最新刊『銀座で逢ったひと』(小社刊)が好評発売中