武士の生首を洗い清める女性たち
このように戦国時代の女性たちは活動的で、時代劇からイメージされるように、家庭の奥に閉じ込められた存在ではありませんでした。
したがって、女性にもそれなりの胆力が求められており、男性が槍と刀を用いたのに対して、武家の女性はたしなみとして薙刀の訓練を受けていました。
もっとも、実際に女性が戦場に出る場面はほとんどなかったと考えられますが、その代わり、合戦の際には後方支援という重要な役割を果たしていました。
戦国時代の武家の女性の暮らしを伝える史料として有名な「おあむ物語」には、籠城の際に城内で鉛を溶かして型に流し、火縄銃の弾丸をつくっていた様子が描かれています。
驚くべきは、論功行賞が判定される重要な場であった首実検に備えて、敵将の首級を洗い清める役割を女性たちが担っていたことです。