生首に取り囲まれるようにして寝泊まりをしていた

「おあむ物語」では、味方の武将が戦果として持ち帰った生首に付着した汚れを落とし、場合によっては身分の高い武将に見せかけるため、その顔に鉄漿(かね/お歯黒)を施していたことが伝えられます。

また、籠城戦の際、生首に取り囲まれるようにして寝泊まりをしていたという回顧も記されています。

生首を洗い清めるという行為にしても、現代人には想像もできない状況ですが、戦乱の時代にあっては決してめずらしい光景ではありませんでした。

戦国時代は男性だけでなく、女性たちも現代人とは異なる精神性を備えていました。

※本稿は『戦国武家の死生観 なぜ切腹するのか』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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