石井 今や、一緒にコンサートができたり、生で一緒に演奏できたりしているんだから、うれしさしかない。
菊池 本当に。きっかけは鳴門市のイベントだったけど、こうなる運命だったんだと思うよ。
石井 いや、亮太くんのおかげね。
菊池 いやいや。たぶん琢磨くんが配信の活動を始めた時点(2020年)で、ストリートピアノやピアノ演奏の動画みたいなものは、いろいろ出尽くした後だったはずなんだよね。おそらく新規参入するのは非常にむずかしい時期だったはず。
石井 たしかに、あの頃は個性で勝負する感じの人が多かった。
菊池 ある種、競い合っている感じで、みんな攻めていた時代。そんな中で琢磨くんの動画は、正統派というか、誰が見ても嫌な気持ちがしない。それはもちろん琢磨くんの個性でもあるんだけれど、たしかな技術があるからこそ、ああいう見せ方ができると思う。
安心して見ることができるピアノのチャンネルって、意外と少ないと思うんだよね。琢磨くんの動画が人気を得ていったのは、海外の息吹を入れたりとか、ほかの人が持っていない正統派なものをバンッと出したことも大きかったと思う。
石井 そうなのかな?
菊池 琢磨くんは、本場のウィーンで学んで、そこで暮らして、そこの空気を吸ってきたという経験があって、それが動画にも生きていると思うんだよね。本場での経験をベースにクラシックピアニストとして活動を展開してきた人。
それに対して僕は、クラシックをベースにしつつ即興演奏をすることが多くて、いつも「クラシックピアニストではありません」と自己紹介している立場。
石井 でも、2人の共通項は、やっぱりクラシック!
菊池 そうだね。クラシックが共通言語。