2人だからこそできること
菊池 そんな中で、2台ピアノだったり、連弾だったり、いろいろあるけど、《2人でやるからこそ》というおもしろさって何なのか、だよね。ふつうに2人でクラシックをやるというだけではなくて。
もちろんクラシックはやるんだけれど、たとえば、琢磨くんがきっちり譜面に忠実に演奏して、そこに僕が即興を交えたりする。そうすることで、まったく新しい、ある種の再構築、化学反応が起こるような感じがするんだよね。
石井 そうだね。
菊池 それって、本当に、あまり類のないことなんじゃないかと思ってる。2人で演奏するだけなら、それほどめずらしいことじゃないけど、一方がクラシック、もう一方がクロスオーバー的という異なるジャンルのものが合わさって、新しい感じのものに生まれ変わるというね。
石井 ネオクラシックみたいな感じだよね。亮太くんと演奏会をするときは、いわゆるクラシックというよりは、バーンスタインとか、ガーシュウィンとか。僕が《ど直球》のクラシックを弾いて、亮太くんに即興を入れてもらったりすることもあるし、聴く人が、よりライトに楽しめるものを2人で考えているよね。
菊池 そうそう。
石井 リストの『死の舞踏』を編曲してもらったこともあった。
菊池 あれはおもしろかった! 特に『死の舞踏』って非常に凝った、本格的なクラシック曲だから。
ああいう曲を、原曲の構成を踏襲しつつアレンジするというスタイルって、じつはなかなかめずらしいような気がするね。僕たちも楽しかったけど、聴いている人たちにも楽しんでもらえたんじゃないかなと思ってる。