ピアニスト・石井琢磨さん(写真提供:『これが規格外の楽しみ方! たくおん式なるほどクラシック』/KADOKAWA)

リアルな演奏ならではの楽しさ

石井 すごいといえば、ライブ配信中に、チャットの反応を見てそれに合わせてアレンジを決めて演奏してるよね? それもすごい。

菊池 コンサートって本当に一期一会のものだと思うんだよね。演奏する側もそうだけど、自分が観客として演奏を聴きに行ったときにそれをすごく感じる。演奏の瞬間に立ち会っている感じがするじゃない?

配信だと、それがライブ配信であっても「これって本当に起こっていることなのかな」と思うところがある。たとえば、アイドルを画面で見たとき、「この人って本当に実在するのかな?」って半信半疑に思うような……。そういうのは演奏に関しても同じだと思うんだよね。

石井 たしかに、そうだね。

菊池 コンサートなどで演奏を見れば、それが実際に起こっていることだと実感できるし、演奏から受け取った感動が聴いている人たちのエネルギーとなって、また演奏者に返っていくこともある。それを演奏者が受けとって、また返す。そういうことが起きるのがコンサートの生演奏のよさだと思うんだよね。

石井 YouTubeのライブ配信はチャットからエネルギーがもらえるという話もあるけどね。

いずれにしてもYouTubeのライブ配信は、生のコンサートの入り口になっている気がする。YouTubeの配信を見て、本当に実在するのかどうかっていうのをコンサートで確認する、そういう流れになるんじゃないかと。

菊池 そうそう。僕らからしたら、たとえば「アルゲリッチ(*3)って本当に実在するんだ!?」みたいな。

石井 それ、思うよね。

*3:マルタ・アルゲリッチ。アルゼンチン出身、現代を代表するピアニスト。日本では1998年より「別府アルゲリッチ音楽祭」総監督を務めている。