息苦しい場面でも
『あんぱん』も終盤になった今となっては、明るいシーンも増えてきましたが、戦争パートでは、心がキュウっとなって息苦しくなるような場面がありました。そんな時でも、健太郎は視聴者のみなさんの心に空気を送り込むような存在でありたいと思いながら演じてきました。
健太郎は、たとえば戦争中だからといって、厳しいことつらいことを吐露するのではなく、「元気出して頑張っていこうよ」というようなことをずっと言っている人物です。もちろん健太郎のセリフは登場人物に向かって言っていますが、朝、見てくださっているみなさんの頭に健太郎の明るさが残って、一日過ごしてくれたらいいなと考えて演じていました。
朝ドラ初出演ですが、「朝ドラだから」というよりも、『あんぱん』という作品で辛島健太郎を演じたことに意義を感じています。1人の人間を生ききることは初めて。役を作るよりも役を生きる。そんな世界に自分が来たという事実を突きつけられながら、緊張感をもって現場にいられることが幸せです。
スタッフ、キャスト、作品に携わった皆さんといい出会いしかなかったので、今後自分のキャリアを振り返る上で、忘れられない作品ですし、自分が向き合ってきた役のなかでも濃い時間を過ごしています。