「復讐」のための転職も難航

役職を解かれ、人事部付の平社員となってから半年ほど経った頃、浜中さんは意気消沈した弱々しい表情で、「ただ窓際で時間が過ぎるのを待つだけの日々を送っている」と漏らした。

ところがさらに数か月過ぎ、59歳の誕生日を迎えてしばらくした時のインタビューで突然、「この無念のままでは会社員人生を終われない。出世の道から蹴落とした奴らを見返してやりたい。つまり復讐です」と語り、顔を紅潮させて怒りを吐き出した。過激な言葉遣いに正直、驚いた。そして、「復讐」方法として彼が選んだのが、転職だった。

転職エージェント数社に登録したほか、これまで仕事で出会った人脈や大学時代の友人など、さまざまなネットワークを駆使して、仕事探しを始めたのだ。

定年退職を待たずとも、即転職したい意向だったが、転職活動は難航した。

「全く、私をバカにしている。一流企業で事業本部長まで務めた人間ですよ! 賃金など待遇やポジション、職務内容を落とすことは到底、できませんよ。やりとりすればするほど、腹が立ってきて前に進みません」

転職活動の状況を尋ねると、毎度、登録している転職エージェントのカウンセラーらへの愚痴を繰り返す。これまでのキャリアの棚卸しなど、カウンセラーから出された課題に応じることもなく、自身が求める条件に合わない仕事を勧められることが我慢ならないようだった。