2025年4月から、各医療機関が都道府県知事に「かかりつけ医機能」を持つことを報告する「かかりつけ医機能報告制度」が施行されました。日常でよくあるさまざまな症状について「どこに相談したらいいかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、家庭医療専門医として健康問題を幅広くサポートする、鹿野クリニック院長・鹿野耕太先生の著書『町医者2.0 病気やケガのよくある症状を診察室でぜんぶ聞いてみた』から、一部を抜粋してご紹介します。
便秘歴20年のベテラン
便秘歴20年のベテランです。いつになったら、腸の渋滞が解消されるんでしょうか?(60代女性)
患:先生、便秘で困っています。私、もう20年くらい……。そろそろ腸も働いてほしい……。
医:便はどんな感じですか?
患:コロコロで硬いです。うさぎのフンみたいな……。
医:食生活は?
患:ヨーグルトは毎日。でも、ダメ。私の腸、頑固なんです。
医:じゃあ、便の通りをよくするように、作戦を立てましょう。
便秘とは、排便の回数や量が減り、便が硬くなって排出しづらくなる状態の総称です。国際的な基準では、週3回未満の排便を便秘と定めています。
「2日に1回しか出ないのですが、これって便秘ですか?」などと質問される場合がありますが、大事なのは回数よりも本人の感じる「苦しさ」。「強く息まないと出ない」「おなかが張ってつらい」など、本人が負担を感じるかどうかが便秘かどうかの分かれ目になります。
軽いものなら生活習慣の改善で対応できますが、重症だと摘便(便を指で取り出す処置)が必要になることも。単に食事や運動不足が影響しているだけではなく、他の病気や飲んでいる薬の影響、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの全身疾患の一部として現れることもあり、さまざまな視点で診察していくことも大切です。
便が硬いと、お尻が傷つき痔になるなど、便秘が他の問題の原因になることも。