人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。
「孤食」の影響
かつて孤食といえば、「同じ家に住んでいながら、家族がそろって食事をとらず、それぞれがバラバラな時間に食事をすること」でした。
しかし、最近は「一人(孤独)で食事をとること」という意味で使われることが多くなっています。
もちろん、忙しいビジネスマンが駅の立ち食いそば店で食事をすませたり、学生が繁華街のファストフード店に駆けこんで孤食したりというケースは珍しくありません。
問題は、一言もしゃべらず、ただ目の前にある食べ物を口に運ぶだけの食事。じつは、脳が強いストレスを受けることにつながり、当然、脳の働きが悪くなります。
孤食の悪影響をとくに強く受けるのが海馬。学習や記憶、感情などを処理する働きを持つ脳の部位で、やる気や元気にも関わってきます。海馬がダメージを受けると、脳全体はもちろん、全身にも悪影響が及びます。