葉物は歯ごたえを残し、根菜類はやわらかく

まず葉物野菜の歯ごたえを残したい場合、50度くらいを境にその歯ごたえは変わります。少し前に「50度洗いで野菜がシャッキリする」と話題になりました。これは、しんなりしてきた野菜を50度のお湯にしばらくつけるとシャキッとすることを利用して、お湯から引き上げ冷蔵庫で冷やしてからサラダなどに使うという方法です。

50度から60度をゆっくり通過すれば細胞壁のペクチンが溶け出さないのでかたくなり、逆に早く温度が上がればペクチンが溶け出すのでやわらかくなります

『プロが大切にしている たった一つの料理のルール』(著:水島弘史/青春出版社)

植物は、50度の湯につけられると危機を感じ、身を守るために細胞壁の強度を上げます。これはカルシウムイオンとペクチンが結びつくことによりますが、その結果、野菜の表面がしっかりするのです。ただ、50度から60度を超えてさらに加熱していくと、どんどん煮崩れていきます。

根菜類をやわらかくしたいなら、先に強い熱を加える必要があります(根菜類を50度洗いすると、ただでさえかたいものがますますかたくなってしまうので要注意)。たとえばにんじん、ごぼう、だいこんなどをやわらかくするなら、熱湯でゆでる、ある程度の火力でいためる、ゆでてからいためる必要があります。

実物はかたいものは根菜と同じ、やわらかいものは葉物野菜と同じだと考えてください。

どの場合も50〜60度の温度帯をどういう状況で通過させるかが重要です。ゆっくり通過させればかたいままで、速く通過させればやわらかくなります。

葉物を素早く通過させればシャキッと歯ごたえが残りますし(かたいまま)、根菜類はこの温度帯をゆっくり通過させればやわらかくなるということです。

・歯ごたえを残したい葉物→低温からゆっくりいためる
・やわらかくして食べたい根菜→最初に強い熱を加える