ラスティニャックの作戦は成功したけれど…
ラスティニャックも都会流の権謀術数を発揮しようと、ゴリオ爺さんを利用することにし、あえてゴリオ爺さんに対して親切に接して、「娘と結婚するのは、君のほうがふさわしい」とゴリオ爺さんに認めてもらおうと企みました。
この2人の娘は、父親の住む宿泊所によく通っていました。
というのも、セレブのパーティでおめかしをするには大金が必要なので、2人の娘は、自分達のことを溺愛する父親から小遣いをもらおうと思っていたのです。
娘をかわいがっているゴリオ爺さんは、与えに与え、ついには財産を切り崩していきます。
一方、ラスティニャックの作戦は成功し、下の娘を結婚相手にすることが許されました。
ラスティニャックは当初、作戦が成功して大喜びしましたが、次第に結婚相手である下の娘の態度に対して、何か心に引っかかるものを感じはじめます。
それは、彼女がゴリオ爺さんを金づるとしか見ていないことでした。
ラスティニャック自身もゴリオ爺さんを利用してきましたが、彼は娘と結婚させてくれたことに対してゴリオ爺さんに恩を感じています。
ところが、毎日のように金をせびる娘は、父親に対して感謝の意を示しません。
それどころか、ゴリオ爺さんが娘に会いにくると、裏では面倒な顔さえします。
次第に、ラスティニャックは都会の非人間性が自分の想像以上に恐ろしいものであることを感じていくのです。