この社会と対決することを決意
だから、僕もラスティニャックを真似ようと決意しました。
「世界は、僕のためにできている」なんていうのは戯言にしかすぎないし、だからこそ自分を捨てて生きていくのが、最もラクな方法とさえも思えました。
もしくは、現実を無視して、大学院生活という温室に戻ることも、ひとつの方法です。
しかし、僕はこの自分用にはできていない社会で、どうやって自分を保ちながら生きていくべきかを見つけていかなければならない。
いや、見つけてやろう。
ラスティニャックに憧れを持ちながら、そう決意しました。
このとき、古典教養がどれだけ1人の人間の決断に影響を及ぼすのか、そして、心の支えになるのかを改めて実感したのです。
こうして、僕はもう一度、この社会と対決することを決意し、まず社会人としてのルールを積極的に学ぼうと考えました。
不思議とそういった「心持ち」になることで、部署の中でも、僕を見る目が肯定的に変わっていったように感じました。
※本稿は『不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。』(大和出版)の一部を再編集したものです。
『不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。』(著:宮下友彰/大和出版)
「なぜ僕はこんなことをしているのだろう? こんな毎日が死ぬまで続くのだろうか?」
希望の会社に入社したものの、自分を犠牲にして働くこと、何よりお金が優先されること、頑張っても報われないこと……、すべて不条理に感じた。
そんな僕を成長させてくれたのは「偉人たちの言葉」だった――!
本書では、哲学・文学・思想をどのように人生に役立ててきたかを、たくさんの事例とともに紹介しています。




