ニーチェ、シェイクスピア、旧約聖書…長く愛されてきた古典からは、理不尽な世の中を生きていくためのヒントが見つかるかもしれません。哲学・文学・思想をどのように人生に役立てていけばいいのか。人気オンラインスクール『古典教養アカデミー』主宰の宮下友彰さんが、豊富な事例と共に紹介する著書『不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。』より、一部を抜粋して紹介します。(全4回中の3回)
ある日、限界を迎えて、逃避した
「世界は、僕のためにできている」という認識を持っていた僕は、「この世界は、自分用にはできていない」という認識を得たことが、この後、大事件へと駆り立てることに…。
当時、広告代理店の新入社員であった僕の勤務するオフィスは、赤坂駅の近くにあり、上野駅から東京メトロで乗り換えをするのがいつもの通勤路でした。
その日、ついに精神的に限界を超えた僕は、上野駅で、東京メトロではなく、あろうことか上越新幹線に乗ってしまったのです。
あっという間に、長野駅に到着しました。
長野駅の最寄りのカラオケボックスに引きこもった僕に、とんでもないことをしてしまったという思いが襲います。
気がつけば、泣きべそをかいていました。
携帯電話には会社から、そして自宅から、鬼のように着信がきます。