社会人が、知恵を駆使して探るべきこと
そして、その原稿を某官公庁に提出したところ、見事に採用されたのです。
もしかすると、その公告をどの業者も見逃していたか、もしくは大した予算ではないので誰も獲得しようとしなかったのかもしれません。
しかし、結果は結果です。
小さな額ですが、売上を獲得し、社内で一瞬ですが、同期の中で、初めて「独力」で営業成績を上げた新入社員として認められた……。
この成功体験により、やり方によってはいくらでも自分のやりたい仕事を引き寄せられると学ぶことができました。
これは、僕自身と社会との対決において、小さくではありましたが、確実な勝利でした。
たしかに、「この世界は自分用にはできて」いません。
しかし、この自分用にはできていない世界において、知恵を駆使して、「どうやって自分らしく生きていくかを試行錯誤すること」こそが、社会人の探るべきことではないかと気づきました。
僕が漫画を制作しているとき、その目はきっと輝いていたと思います。
僕ははじめて社会人としての通過儀礼を、このように古典教養を通して、終えることができたのでした。