『ゴリオ爺さん』から得られること

社会や会社を支配する「資本主義」という怪物は、先人が積み上げてきた結果であり、体の大きい怪物同然です。

生きていれば、どこかの瞬間に、その怪物に正面衝突して、痛い思いをすることがあるでしょう。

そのとき、真っ先に頭に浮かぶ選択肢は「社会に屈服するか」「社会から逃げるか」の二択です。

そんなとき『ゴリオ爺さん』は、「第3の道があるのだよ」という思想を授けてくれます。

社会に寄り添いながらも、自分らしく生きる方法が必ずある。

むしろ、制限の中でどこまで自由を発揮できるのかを試すこと。

それが社会で生きる人間の醍醐味なのではないかと思いました。

(全4回中の4回)

 

※本稿は『不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。』(大和出版)の一部を再編集したものです。

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不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。』(著:宮下友彰/大和出版)

「なぜ僕はこんなことをしているのだろう? こんな毎日が死ぬまで続くのだろうか?」

希望の会社に入社したものの、自分を犠牲にして働くこと、何よりお金が優先されること、頑張っても報われないこと……、すべて不条理に感じた。
そんな僕を成長させてくれたのは「偉人たちの言葉」だった――!

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