(写真:stock.adobe.com)

日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマが展開していく中、江戸時代の暮らしや社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「打ち壊し」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

天明の打ち壊しとは

天明7年(1787年)に天明の大飢饉による物価の高騰と生活困窮を背景に、江戸や大阪をはじめ、全国各地の町で発生した民衆の暴動を「天明の打ち壊し」といいます。

飢饉のために米が不足したところに、商家が買い占めを行い、価格のつり上げを目的に売り渋りをしたため、一般民衆は米を入手することが極めて困難になりました。

…と書くと、さながら「いま」の状況に似ていますね。