「自分ができなかったことを、子どもには挑戦させてあげたいと思うのは、母親の普遍的な感情かもしれません」

 

結婚して子どもを産んでからは、ベビーシッターさんと母に助けられて仕事を続けることができました。子どもたちも、おばあちゃんのおかげで今の自分があると、客観視できる年齢になったのでしょうね。だから映画の話をした時、3人とも大賛成してくれたのだと思います。

子どもたちは3人とも、留学経験があります。私は20代で大きな挫折を経験した時、仕事から離れて海外に留学したかったけれど、結局勇気がなくてできませんでした。自分ができなかったことを、子どもには挑戦させてあげたいと思うのは、母親の普遍的な感情かもしれませんね。だからこそ、母も本当は人前で踊ったり演じたりしたかったのかな、という考えに至ったのです。

 

いつもよりにこやかな表情で

撮影当日、母には一番のお気に入りの着物を着てもらいました。私の結婚式の時に着た色留め袖です。女性は何歳になっても、お化粧をしておしゃれをすると心が華やぐのでしょう。母は、いつも以上ににこやかでした。

すごくいいカットが撮れたので、「これはいける!」と確信。私が撮りためた動画や、私自身のインタビュー映像などと組み合わせて編集しようと決めました。そして最後に、母の故郷の那古船形の海岸にロケに行きました。

編集はプロにお願いするものだと思っていたら、今はパソコンを使って自分でできるんですね。やり方を教えてもらって自分で行いました。編集中、母の映像に合わせて流す音楽をいろいろ探していたら、優河が作詞・作曲した「瞬く星の夜に」がぴったりだと気がついて。彼女に許可をもらい、エンディング曲としました。

編集し終えた動画を息子に送ると、「編集、いいね。すごくいい作品だと思う。エマは泣いちゃったよ」と。インターナショナルに通用する作品だと言ってもらえたので、うれしかったです。