賑わう原宿界隈
さて1973年のオイルショックを経て、70年代後半にかけて経済は順調に成長し、洋服を作っては専門店で飛ぶように売れる時代に。人口が多い世代だけに勢いもあり、様々なジャンルが生れてきます。
既にパリで名を馳せていた高田賢三に続けと「イッセイミヤケ」「ヨウジヤマモト」「コムデギャルソン」といった今や世界に冠たるデザイナーブランドもこの時期に表舞台に現れ、さらに菊池武夫による「メンズビギ」や金子功による「ピンクハウス」を擁するビギ、松田光弘によるニコルといったデザイナーブランドを多く抱えるアパレルメーカーも登場します。
同時にデザイナー名を敢えて強調せず個性的な商品を作る「コムサデモード」や松本瑠樹による「バツ」、田中三郎による「アトリエサブ」、大川ひとみによる「ミルク」といったキャラクターブランドというジャンルも登場し、「DC(デザイナー・キャラクター)ブランドブーム」が巻き起こります。
原宿界隈には、これらのショップが立ち並び、ファッションの落日など誰もが想像できないほどに賑わっていました。
こうして団塊世代が主導するムーブメントは、ニューサーティーからDCブランドブーム、そして次のバブル時代へと昇りつめていくのでした。
※本稿は、『アパレルビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『アパレルビジネス』(著:久保雅裕/クロスメディア・パブリッシング)
まだら模様のファッション業界を見渡すと、そこには時代が映されている。
ファッション好きから業界関係者まで楽しく読めるアパレルの教養。