果てしなく大きい銀河系
太陽系は、「銀河系」という星の集団の一員です。
銀河系は中心がふくらんだ、どら焼きのような形をしています。まわりの円盤の部分は大きく渦を巻き、2億年以上かけて回転していると考えられています。太陽系は銀河系の中心からだいぶ離れた、この円盤の渦の部分にいます。
あなたは地球人で、太陽系人で、銀河系人なのです。
銀河系は「天の川銀河」ともいいます(この記事では銀河系と書いています)。
銀河系には、太陽のように自分で輝く星(「恒星」といいます)が1000億から2000億個も集まっています。
けれども、私たちが見ている夜空のどの星も、そのうちごく近いものだけです。銀河系は果てしなく大きいのです。
つまり、あなたは今、地球に乗ったまま、太陽系ごと、そして夜空の星ごと、銀河系の円盤の中をただよいながらまわっているところです。
ところが、銀河系も宇宙のすべてではありません。
それどころか、銀河系は宇宙の中では針の先で突いたほどの点でしかなく、銀河系の外にも数えきれない銀河が延々と浮かぶ、さらに広くて深い宇宙がどこまでも続きます。
どこまでも?
宇宙に果てはあるのでしょうか?
この宇宙のどこかに、人間に似た生き物はいるのでしょうか?
私たちはまだ地球以外の星の住人に出会ったことがありません。
たったひとつの小さなこの天体からほとんど離れたことはないし、まだ離れて生きていくことができない地球生命体のひとつです。
見上げる宇宙(そら)がどれほど広くても、私たちが生きる場所は美しくもはかない、岩の惑星の上です。
※1 『理科年表 2025』によると、木星の衛星数は、登録番号がつけられたものが72個、2024年8月末までに発見の報告がされたものは95個です。また、2025年には第6惑星である土星の衛星数が一気に274個にまで増え、太陽系最多となりました。
※2 日本語のひびきはイカツイですが、神話では美少年として登場します。
※3 国際天文学連合(International Astronomical Union:IAU)は、1919年に設立された天文学の研究者集団です。国際協力によって天文学の研究、コミュニケーション、教育、発展を含むあらゆる側面で天文学を推進して保護する使命をもちます。2019年に設立100周年を迎えました。
※本稿は、『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』(草思社)の一部を再編集したものです。
『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』(著:野田祥代/草思社)
本書は、宇宙の生い立ちや星の一生、宇宙の構造といった科学的事実をやさしくひもときながら、人間の存在を宇宙のスケールで見つめ直す視点を提供する。
人間の存在は小さい。だが、その小ささにこそきっと意味がある。
宇宙を知ることは、私たち自身を知ること、その扉を開く一冊。