〈発売中の『婦人公論』10月号から記事を先出し!〉
吉岡秀隆さんは、1990年代が舞台の本格社会派ミステリー小説『夜の道標』を原作にした連続ドラマに主演、真実を追い求める刑事を演じている。現代に通じるテーマへの向き合い方や役作りについて聞いた(構成:内山靖子 撮影:小林ばく)
吉岡秀隆さんは、1990年代が舞台の本格社会派ミステリー小説『夜の道標』を原作にした連続ドラマに主演、真実を追い求める刑事を演じている。現代に通じるテーマへの向き合い方や役作りについて聞いた(構成:内山靖子 撮影:小林ばく)
90年代、社会の奥底にあったもの
今回、出演させていただいた作品『連続ドラマW 夜の道標 ─ある容疑者を巡る記録─』は、1996年に起きた殺人事件をめぐる本格社会派ミステリー。この物語のなかで僕が演じるのは、2年間まったく足取りがつかめない殺人犯の阿久津を地道な捜査で追い詰めていく刑事・平良正太郎(たいら・しょうたろう)です。
最初に脚本を読んだとき、当時の社会の奥底に潜むひとつの闇を「知ってしまった」という思いに襲われました。その闇とどう向き合うかを、平良という役を通して僕自身も体験し、学ばせてもらいました。
誰もが思うようにいかず、みんなどこか孤独ですり減っている――。そんな90年代の社会の空気感をドラマは描いていますが、僕はこうした問題は現在も存在している、という思いを抱きました。
だからこそ、俳優として単に演じるのではなく、監督をはじめ、スタッフ、キャストのみなさんと一緒にその空気感を体現していくことを心がけたんです。「ドラマを観てくださる方にもこの問題を一緒に考えてほしい」という気持ちを役に込めて撮影に臨みました。