一人暮らしの友人と励まし合いながら

振り返れば、両親も私も昔から物忘れがひどかった。「言った」「言っていない」、「頼んだ」「頼まれていない」などと、よくケンカしたものである。

3人とも日記は几帳面につけていたのに、「今日は何をしたっけ」と、両親から聞かれるのはしょっちゅうだった。年を重ね、認知症を発症するのではないかと不安が募る日々。

時々連絡を取り合う友人やいとこには、「私が変なことを口走ったら遠慮せずに教えてよ」と頼んでいるが、「お互いさまよ、みんないい年なんだから」と笑って流される。私にとっては笑いごとではないのに。

そんななか、先日、友人のMちゃんが「物忘れがひどすぎて自分に自信をなくした」と、悲しそうに言った。彼女は買い物に行く途中、お気に入りの漬物を路上販売しているところに遭遇して購入、包んでもらった漬物を自転車のカゴに入れてスーパーへ。

買い物を終えて自転車に戻ると、見覚えのない袋が入っている。「誰かが間違えて入れたに違いない」と考え、スーパーに落とし物として届けた。

家に帰って「今日は美味しい漬物があるぞ」と機嫌よく夕食の準備を始めたものの、肝心の漬物がない。そこでやっと、「あの袋こそ、私の漬物だった!」と気づいたという。

話を聞いて思わず笑ってしまったが、ほんの少し心配になった。3歳年上のMちゃんも私も、お互い一人暮らし。主治医からは「会話をすることも認知症予防になりますよ」とアドバイスされるが、家族でもない限り、そうそう頻繁に他人に電話をかけるのも憚られる。Mちゃんとは時々励まし合いつつ、物忘れ対策は今も模索中だ。

病院から帰宅したらすぐに次の予約日時を日記帳に書き留めるなど、小さなことからコツコツと。でも、そばに一人でもいいから誰かがいてくれたら、物忘れも減るのでは――と、ふと叶わぬ願いを抱く、72歳の私である。