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新型コロナウィルスの影響で、自宅勤務が推奨されるなど、労働環境が変化せざるを得なくなった日本。不動産事業プロデューサーである牧野氏は、働き方が変わることで、私たちの家選びの基準も変わり、「住みたいまちランキング」が激変するのは確実という――

※本稿は、牧野知弘『街間格差-オリンピック後に輝く街、くすむ街』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです

「働き方改革」と「コロナ」がもたらした変化

ここ数年、国を挙げて「働き方改革」が提唱されてきました。

日本国民の人口減少と高齢化は、すでに現実として働き手不足を招いています。働き手が減る中で経済を維持していくには、一人当たりの労働生産性を向上させるしかないということでしょう。

本来は「働き手が減るからその分たくさん働こう」となりそうですが、今のところの「働き方改革」は労働時間を減らして処遇を改善し、それで労働者の生産性を上げるという、やや虫の良い目標を掲げているようにも見えます。

実際に政府が掲げている「働き方改革実現」のための課題は多岐にわたっており、整理すれば、おおよそ以下の九つに分類できそうです。

(1) 非正規雇用の処遇改善
(2) 賃金引上げと労働生産性の向上
(3) 長時間労働の是正
(4) 柔軟な働き方がしやすい環境整備
(5) 病気の治療・子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
(6) 外国人材の受け入れ
(7) 女性、若者が活躍しやすい環境整備
(8) 雇用吸収力の高い産業への転職、再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
(9) 高齢者の就労促進

一方、ここにきて新型コロナウィルスの外出自粛要請により、望む・望まないにかかわらず、「電車に揺られて出社し、朝から夜まで働いて自宅に帰る」というこれまでの働き方を多くの人が維持しにくくなってきました。結果、「会社に行かなくても仕事はできる」という事実に、多くの人が気づき始めています

私はずっと「働き方が家選びと直結している」と主張してきました。そして国難を前に足元で大きく動き始めたこの変化が、今後の住まい選びに影響を与えると考えています。