次はもうちょっと、もうちょっと
葛飾北斎という人は、名声が欲しいわけじゃないんです。評判の絵を描いてもすぐ画号を売り払ったり変えたりしていましたから。もちろん生活のために描いたこともあっただろうけれど、ただ自分で描きたい理想の絵を描くためにひたすら筆を握った日々で、満足することを知らなかった人です。
北斎は「あと10年、いや5年生きればもっと絵が上手く描けるようになるのに…」と言い残して亡くなっていったと言われています。天才に対して大変おこがましいんですけど、その気持ちはとてもわかるんですよね。
次こそはもっと、もっとやれたら良かった、と僕も自分の芝居に関しては映画が完成するたびに思ってしまいます。
でも、過去に戻っても、あれ以上のことはきっとできない。絶対にその時の僕の100%なんです。でも次はもっと、と思うんですよね。だから前作の外枠を外して、キャパシティや懐の深さをさらに持って前回の100を今回は120にできたらな、と考えてしまう。映画の世界も、数式みたいに1つの答えがあるわけじゃなくて、無限の可能性があるからこそ、僕もきっと一生満足は出来ないんだと思います。
■映画『おーい、応為』2025年10月17日(金)公開
監督・脚本:大森立嗣
キャスト:長澤まさみ 高橋海人(※高ははしごたか) 大谷亮平 篠井英介 奥野瑛太 寺島しのぶ 永瀬正敏
原作:飯島虚心 『葛飾北斎伝』(岩波文庫刊) 杉浦日向子 『百日紅』(筑摩書房刊)より「木瓜」「野分」
配給:東京テアトル、ヨアケ
コピーライト:(c)2025「おーい、応為」製作委員会






