そんなある夜のこと。いつものように床についた私は、不思議な情景を見たのです。寝ている私の目の前に、猫が一匹、ひょっこり現れました。そして、布団で寝ている私の下腹あたりを前脚でふみふみと足踏みし始めるではありませんか。私をジーッと見つめるその瞳は、元気だった頃のミースケとまったく同じ、美しいブルーをしていました。

その次の瞬間、どこかの病院の診察室らしき場所で医師と対話しているシーンが現れました。さらに、私が手術台の上に横たわっているシーン。続いて、病院の建物の外観が出てきて、その看板には見知らぬ病院名が……。そこで目が覚めたのです。

びっくりして飛び起きたときには、猫の姿は消えていました。そして、夢に出てきた病院の残像があり、気になったのですぐに調べると、実在する県外の病院で、私の家から車で片道4時間ほどの距離にあると判明。そこが産科婦人科専門と知ったとき、私はなんとなく胸騒ぎを覚えました。というのも、婦人科検診をもう何年も受けていなかったからです。

じつは以前、婦人科検診を受けたときに男性医師から、子どもを持たない、持てない理由をしつこく聞かれ、頭ごなしに説教されたという、いやな思い出がありました。いまはそのような医師はいなくなったことを願いますが、以来、婦人科検診は、妊娠を希望する人が受けるものだから自分は関係ない、と思い込んで避けてしまっていたのです。

そんなときに見た、不思議な夢。これは何かのお告げかもしれないと感じました。年齢も年齢だし、これを機に受けてみようか……。まだ迷っていたところ、なんともタイミングよく、市から「婦人科検診の受診クーポン」が郵送されてきました。これだけ条件が整えば、もう受診するしかない! という気持ちになり、地元の病院に予約を入れたのです。