「本当は疲れているのに<いつのまにか、休みたくても休めなくなってしまう>人がいる」そう警告するのは、産業医として活躍する精神科医の尾林誉史先生です。尾林先生は、サラリーマン時代に自身や周囲のメンタル不調に遭遇。そこで見た産業医の現状を憂い、産業医になるために会社を退職、医学部へ進学し精神科医となりました。そんな尾林先生が休めなくなってしまった人へ、やさしく「休み方」を教える著書『精神科医が教える休みベタさんの休み方』より、一部を抜粋して紹介します。今回は「休めなくなってしまう人」について。
しんどくても助けてもらえない
産業医として各社の社員と話していて、たくさんの方が、しんどさをわかってもらえないつらさを抱えているのを感じます。
助けてもらえないし、むしろもっと働いてもらわないと困るという空気の職場が増えているのです。
B子さんもそうでした。
課内全員に余裕がなく、他の人はさらにハードに働いていたようで、もっとやってほしいという圧を常に感じていました。キャパを超えて苦しいと漏らすと「そういう態度だと仕事を振りにくくなる」と言われたそうです。
つらかったのは、いくらやっても仕事が終わらなくて締め切りに追われ、誰にもその助けを求められなかったことだといいます。
希望の持てない日々が続いた末に、彼女は微熱や腹痛を起こすようになってしまいました。
しんどくても、誰もわかってくれない。頑張りを誰も認めてくれない。
もし、「大変だよね」と言い合える同僚や上司がひとりでもいたら、そんなことにならないで済んだかもしれません。