常に評価されていないと不安で休めない
業務委託のような不安定な雇用形態で働いている場合、そうした自分に厳しい人たちが、さらにつらい状況に陥ることもあります。
F子さん(30代後半)は「難しい案件はF子さんに任せておけば大丈夫」と思ってもらっていると自任して業務委託で働いていました。
実際、仕事ができる彼女は、クライアントから多くを任され、リーダーや、新入社員の教育係など、責任の重い仕事を引き受けていました。ところがいろいろ無理が重なって、メンタル不調に陥ってしまいます。
休むことによって、それまでの成果や、自分の存在意義や居場所がなくなってしまう。「F子さんがいなくても問題ない」と思われるのではないかと怖かった。
「XXができる自分」にしか自信がなかったため、できない自分になることはアイデンティティが崩壊するのに等しく、ただただ不安だったと振り返ります。
F子さんのような方は、自分に休みが必要だと思いたくありません。
休むことで、ご自身の価値が変わってしまうわけではないのですが、自分ではどうにも立ち止まれないのです。
そんな心理状態が続いて、ついつい無理をしてしまいます。
※本稿は、『精神科医が教える 休みベタさんの休み方』(尾林誉史:著/すばる舎)の一部を再編集したものです。
『精神科医が教える 休みベタさんの休み方』(著:尾林誉史/すばる舎)
本当は疲れているのに、「いつのまにか、休みたくても休めなくなってしまった」、すべての人へ。サラリーマン時代、自身や周囲のメンタル不調に遭遇し、その後、精神科医になった尾林先生が、自身のクリニックや企業の産業医として、出会った多くの方々との対話から培った知見をもとにアドバイス。不安や焦りをなくして、休み上手になれるヒントが詰まった1冊。





