「本当は疲れているのに<いつのまにか、休みたくても休めなくなってしまう>人がいる」そう警告するのは、産業医として活躍する精神科医の尾林誉史先生です。尾林先生は、サラリーマン時代に自身や周囲のメンタル不調に遭遇。そこで見た産業医の現状を憂い、産業医になるために会社を退職、医学部へ進学し精神科医となりました。そんな尾林先生が休めなくなってしまった人へ、やさしく「休み方」を教える著書『精神科医が教える休みベタさんの休み方』より、一部を抜粋して紹介します。今回は「人間関係の考え方」について。
頑張っても、説明のつかない偶然の要素がある
『外資系保険会社で不動の営業成績ナンバーワンが教える XXプレゼン術』とかいう本が売れていたりします。
何か秘密があるなら知りたいと思うわけですし、僕も書店に並んでいたらちょっと開いて見ちゃうこともあるんです。
でも、そういう本を読んで気がつくことは、実力とか根性だけではたどり着かないんだなということです。
もちろん、その方の志が高いとかいうことはあると思います。しかし、それが備わっていればみんな同じように成功する保証なんてない。たまたまいい部署でいい上司とめぐり会って、そこから展開が変わっていったりするわけです。
イチローだって仰木監督に出会わなければああはならなかったかもしれない。練習しないでふてくされてたわけなんですから。
努力しても仕方ないとか、志を持っていても仕方ないとかいうことを言っているわけではありません。
ただ、「頑張っているのに、なんで自分はうまくいかないんだろう」というのは見当違いな悩み方だと思うのです。
そこには、出会いとか、運不運とか、説明のつかない偶然の要素がある。
そういうこともふまえて、仕事やキャリアについて考えていくほうがいいということです。