「よそさん」だから書ける京都
私は京都人じゃない、京女でもない。
だから、ほんまは京都のこと、わからへんやろ? と問われたら、わからないですと答えるしかない。
生まれ育ってその地に根付いた「京都人」の、当たり前のことで知らないことは、おそらくたくさんある。
おそらく一生「京都人」「京女」には、なれない。
けれど、実は、なる気もないのだ。
だって、「よそさん」ゆえに見えるものがあって、私が描いたり、案内するのは、その視点なのだから。
数年前、『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』という評伝を刊行した。
「京都〇〇殺人事件」というタイトルの本をたくさん刊行し、京都東山の屋敷に住み、「京都の女王」と称されながら謎につつまれた作家について調べて書いた。
その過程で、「京都」イメージが誰より強い山村美紗という作家が、京都伏見の母の実家で生まれはしたが、育ったのは外国で、幼い頃も四国や九州を転々としていたこをと知った。
山村美紗の夫の巍さんは「だから、美紗の視点は外国人なんですよ。たくさんドラマ化されている美紗の有名な『キャサリン』シリーズのヒロイン・アメリカ人のキャサリン、あれが美紗なんです。美紗は京都で育っていないから普段は京都の言葉も使わない。彼女があれだけ京都を舞台にたくさん本を出せたのは、京都人の視点ではないからです」と言われて、多いに納得がいった。
「よそさん」だから、書ける京都、そして案内できる京都がある。
だから私も、これからも京都を書き続けていたい。
まだまだ、書きたい「京都」がたくさんある。
「京女」じゃないからこそ、見える京都を。
いいところも悪いところも、表と裏も、光と影も、いっぱいある京都の街を。

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