名古屋市交通局のSRT(Smart Roadway Transit)計画

名古屋市交通局は、2019年(平成31年)に「新たな路面公共交通システムの実現を目指して(SRT構想)」を発表した。東京BRTと同じく連節バスを使った新しいバスシステムである。

札幌市でも都心部で同様の計画があるが、BRTという単語が主に地方路線で使われているため、都市中心部で導入が予定される名古屋市の場合は、SRTという言葉が創作された。

この構想にもとづいて、現在名古屋駅から広小路通を通って栄まで、連節バスによる事業化を進めている。名鉄バスに運行を委託して、2025年度(令和7年度)後半の運行開始を予定している。続いて、名古屋駅、名古屋城、栄、大須、名古屋駅を周回するルートを整備するという。

※本稿は、『日本のバス問題-高度成長期の隆盛から経営破綻、再生の時代へ』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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