イラスト:おおの麻里
健康に気をつけて、バランスよく食べているつもりなのに、いま一つ元気が出ない。疲れやすいし、見た目も何だか老けてきた……。ひょっとすると、それは栄養不足が原因かもしれません。50代以降の女性が摂るべき栄養素と食べ方について、栄養カウンセラーの定真理子さんに聞きました(構成=渡部真里代 取材・文=鈴木裕子 イラスト=おおの麻里)

カロリーは十分でも必要な栄養素が不足

「いま、栄養失調の人が増えています」と言うのは、医療関係者や一般女性に栄養指導を行っている、栄養カウンセラーの定真理子さん。この飽食の時代に栄養失調とは、にわかに信じがたい話です。

「かつては栄養失調というと、満足に食事が摂れず、カロリー不足でやせ細っている状態を指していました。しかし現代は、カロリーは十分でも健康維持に必要な栄養素が不足している『新型栄養失調』が問題視されているのです」(定さん。以下同)

現代人に不足している栄養素は、タンパク質や鉄分をはじめとするミネラル類、ビタミンだと言います。

「タンパク質は、筋肉や骨、内臓、血管・血液、髪の毛や皮膚をつくるのはもちろん、感情や感覚を司る脳の神経伝達物質の材料にもなる重要な栄養素。そのため、不足すると細胞の代謝が悪くなり、さまざまな不調が起こるのです」

具体的な症状としては、疲れやすくなる、皮膚のツヤがなくなる、髪の毛が細くなるなど。つまり、老化が一気に加速することに。

「タンパク質不足の状態が続くと、筋肉量や骨量が落ち、立つ・歩くなどの機能が低下する『ロコモティブシンドローム』の状態を招き、寝たきりのリスクを高めてしまいます」