髪がするりと抜け落ち…

赤子の泣き声が響くなか、櫛を入れるたびに髪がするりと抜け落ちていく。それにつれて腫れあがった顔も露わになる。

『教養としての最恐怪談 古事記からTikTokまで』(著:吉田悠軌/ワン・パブリッシング)

「……これが、わたしの、顔かいなぁ」

悶え苦しんだお岩は、倒れた拍子に置かれていた小刀が首に突き刺さり、絶命したのである。

彼女の死骸は、これも伊右衛門に殺された小仏小平という男とともに、一枚の戸板の裏表に縛られて濠に流されたのだった。