酸味はとても大切な要素
ハード系食事パンを購入するときに味について質問すると、「酸味はおだやかです」と言うパン屋さんが多いなと思うことがしばしば。「なぜ?」と尋ねると、「酸味が苦手というお客さまが多いから」とのこと。たしかに、過度な酸味はさすがの私も少し苦手ですが、ハード系には酸味が少しあるほうが、やっぱりいいなぁと思うのです。
食事において、酸味はとても大切な要素ですよね。酸味の役割はいくつもあります。たとえば、味のバランスを整えること。甘味・塩味・苦味・うま味と調和し、全体の味を引き締めてくれます。リッチなバターソースやクリーミーな料理にレモン汁を加えると、重さがやわらぎ、口当たりが軽やかになりますよね。酢の物が、こってりした揚げ物の後口をすっきりさせてくれるのも、酸味の力によるものです。
素材の風味を引き立てるという役割もあります。酸味は、素材の持つ個性を引き出すアクセントでもあるのです。
たとえば、トマトの酸味がオリーブオイルやにんにくと調和すると地中海料理に。柑橘の酸が香り高いハーブと合わさると、アジアの風味に。酸味はその土地や文化の「味のサイン」とも言えるかもしれません。
