パンと料理をつなぐ魔法のような存在

こうした食べ方を知っていれば、酸味のあるパンも「すっぱいから苦手」と敬遠せずに楽しめるはず。お肉や魚、チーズはもちろん、季節の野菜やフルーツとの意外なペアリングも、酸味のあるパンだからこそ引き立つことがあります。

たとえば、グリルしたズッキーニやトマトにオリーブオイルとレモンをひとしぼり――そんな一皿にカンパーニュが寄り添えば、味の奥行きがぐっと広がります。

酸味は、パンと料理をつなぐ魔法のような存在。だから私は、酸味のあるパンにもっと肯定的なまなざしが向くとうれしいなと思っています。パンをおいしく食べるって、そういう余白やひと工夫のなかにこそ宿っている気がしてならないのです。

※本稿は、『パンビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
パンの奥深さはワインやコーヒーにも匹敵する。見て、触れて、嗅いで…パンをじっくり味わい、感じるための「テイスティングメソッド」を紹介
日本のパンは業界の常識をさまざまに打ち破り、ガラパゴス的超進化を遂げた。世界に広がった画期的な製法「湯種」は宝塚のパン屋が編み出したもので…
「地球沸騰の時代」コシヒカリの高温障害、リンゴやミカンの栽培適地が北上…。一方で、栽培が難しかった<熱帯果樹>が普及する可能性も

パンビジネス』(著:池田浩明、瑞穂日和/クロスメディア・パブリッシング)

なぜあのパン屋には行列ができるのか?

地方のパン屋が地域創生の核となれるのはなぜか?

パン飲みという新しい文化はどう生まれたのか?

単なる食べ物を超えた、パンの持つ力について考察を深めていきます。