(写真提供:Photo AC)
朝食の食パンから高級ベーカリーのこだわりパンまで、パンは私たちの日常に欠かせない存在ですが、その世界を深堀りしてみると、さらなる魅力が発見できるかもしれません。今回は、共に大のパン好きであるというNPO法人新麦コレクション理事長・池田浩明さんと編集者・瑞穂日和さんの著書『パンビジネス』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。池田さんによると、ワインやコーヒーや日本酒などのように、パンにも「テイスティングメソッド」があるそうで――。

パンをじっくり味わい、感じよう

ワインやコーヒーや日本酒などでは、テイスティングの方法論や風味の体系が確立されています。

でも、パンの世界ではまだまだ。これらの飲料が“教養”として扱われる一方で、パンが同じような地位を確立していないのは、体系化されていないからではないでしょうか。パンという分野の奥深さは、ワインやコーヒーや日本酒に匹敵すると私は確信しており、パンのテイスティングをもっと広めていきたいと考えています。

パンを最大限に味わいつくし、作者の意図や、発酵の過程、素材となる小麦の生産地や品種まで読み解くとき、アートを鑑賞するのと同じような感動があると思います。そんな奥深い世界への鍵をみなさんに手渡したい。それがこれからご紹介するテイスティングメソッドなのです。

次に挙げるのは、パンを食べる行為を8段階に分解したもの。やや煩雑に感じるかもしれませんが、この段階を私たちは必ず踏んでいるのです。それを注意深く行うのがテイスティングです。慣れてくると自然にできてくるので、むずかしく考えず、「こういうふうになってるんだ」くらいに捉えていただければ大丈夫です。