(3)内相 見る
パンの断面もおもしろいことがわかります。ぷつぷつと広がっている穴=気泡。これは、酵母が二酸化炭素の息を吐いた跡です。これを見ると、どんな発酵を経たか知ることができるので、「気泡は発酵の履歴」とも言われます。
「断面見ただけでパンのなにがわかるの?」と疑問に思われそうですが、気泡をスポンジに見立てるのが簡単な方法。というのも、気泡は食べるときの唾液の通り道になるのです。気泡がうまくできていると、唾液をスポンジのように吸い込んで口溶けがよくなります。口溶けのスムーズさはパンのおいしさの重要な要素です。
まず、まんべんなく散っているのがよいです。パンの下のほうに気泡のない部分があると、口溶けが悪くなります。
それから、気泡の大きさと数。大きい気泡が散っている様子。バゲットなどで見られ、うつくしくできあがったものは「蜂の巣状」と表現されます。これは火通りもよくなり、おいしさの証と言われます。また、食パンでは小さい気泡になりますが、それが数多くあるなら、ソフトで口溶けのよいものになるでしょう。
気泡膜の色みにも注目します。白なのかグレーがかっているのか、黄色味がかっているのかは、小麦粉や副材料の種類を推測できます。透明感があれば、小麦粉に水がうまく浸透している証拠。甘く、口溶けよくなる要素です。縦長の気泡は、オーブンの中で水蒸気の発生によって上に伸びたことを表し、これも甘く、口溶けよくなります。