娘の理沙さん(右端)、お孫さん、演奏家の仲間と(写真提供:鰐淵さん)

80歳ともなると、別れも多く、寂しい思いをすることが増えてきます。そんなときは、もうひとりの自分の「あなた、落ち込んでばかりじゃダメよ」という声が聞こえるんです。

「暗い気持ちになったらダメなんじゃない?」という声は、昔も聞こえたことがありましたが、感覚がより研ぎ澄まされてきたから、しっかりと聞こえるのかもしれませんね。

だからこそ私は日々、楽しいことを探しているんです。しゃかりきになって「第二の人生だからがんばらなきゃ」という感じではありません。笑いたいとか、音楽を聴きたい、ラジオで話題にでていた美術展に行ってみよう、おいしいものを食べに行こう、旅行もいいわね、今度のリサイタルでは何を弾こうかな、とかね。私、欲が強いのかしら(笑)。

そうそう、今日の衣装は、ニューヨークのソーホーに遊びに行ったときに買ったもの。アーティスティックなエリアなので、行くとワクワクしちゃう。

楽しい気持ちでいることは、生きる原動力になります。体が動く限り音楽を続けて、そのまま最期までいけたらいいなぁ、なんて思っているんですよ。

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