世界随一のカウンター大国

「ひとり飲み」というのは、江戸時代に生まれた由緒正しい文化なのですが、「ひとり食べ」も含めてここまでオールジャンル化したのは、実はそれほど昔ではありません。

かつては居酒屋や定食屋、ラーメン店で男性がひとり、といった光景がパブリックイメージでした。

『50歳からの美食入門』(著:大木淳夫/中央公論新社)

しかし2011年の東日本大震災で都心の大型店から地元のこぢんまりしたお店にニーズが移った結果、東京ではカウンター主体のお店が飛躍的に増え、結果としてフレンチ、イタリアンといった形態でも、ワインを片手にカジュアルに楽しむ男女のひとり客が当たり前になりました。みなさん忘れているかもしれませんが、それ以前にはあまりなかった光景です。

そして今では、多くのニューオープン店でカウンターがデフォルトになっていて、ひとり客は大歓迎状態です。「ひとりだと迷惑なんじゃないか」などと考えなくても大丈夫。気になるお店があったら、えいやっと飛び込んでみてください。

もちろん、事前に予約ができるなら、それがベストです。