脳の老化が客観的にわかるのが「脳の萎縮」

脳は、ご存じのように、体と心の司令塔です。

考える、覚える、判断する、歩く、話す、食べる、見る、聞くなどの人としてのあらゆる活動が脳によってコントロールされています。

さらにうれしい、悲しい、不安になるなどの感情を生み出しているのも脳です。心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を調節したりしているのも、やはり脳です。

脳が老化すると、私たちの生活のすべてが脅かされることになります。

その老化のサインが、名前が出てこなかったり、さっきまで覚えていたことを忘れたり、平坦な道でつまずいたりする現象です。 

脳の老化というと、認知症のように、脳と直接関わる症状を連想する方が多いでしょう。しかし、歩く動作ひとつ取っても、脳から指令が出ているのですから、歩くのが遅くなったり、道でつまずきやすくなったりするといった、体の老化にも脳が深く関係しているわけです。

脳の老化が客観的にわかるのが、脳の萎縮です。

萎縮というと、すごいことが脳に起きているように聞こえるかもしれませんが、年を取るとほとんどの人に見られる現象です。

MRI(磁気共鳴画像法)という検査で脳を撮ると、脳全体が小さくなっていることがわかります。

萎縮するのは、脳を構成する主な要素である神経細胞や神経回路が、寿命や脳内の環境悪化などによって少なくなるからです。細胞や回路が減った分だけ、脳が小さくなるということです。

 

年をとれば、ほとんどの人に見られる「脳の萎縮」(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)