年を取ると、誰でも脳は小さくなる
脳の萎縮は、その程度やスピードに個人差はありますが、年を取ると誰にでも起きます。一説には、20歳くらいを過ぎると少しずつ萎縮が始まるともいわれます。どうして萎縮が起きるのかというと、ひとつは加齢です。
脳を構成する神経細胞は、生まれてから徐々に増えていき、20代の頃をピークに加齢とともに少しずつ少なくなります。ピーク時の神経細胞は約860億個といわれ、年間約0.1〜0.3%の割合で減少するといわれます。
神経細胞は再生力が非常に低いため、数が減った分だけ、神経細胞の総数は少なくなります。ただし、脳のすべての部位で同じように減るわけではなく、減りやすいところもあれば、減りにくいところもあります。
一般的に減りやすいのは、記憶や思考に関わる部位といわれます。逆に比較的減りにくいのは、呼吸や心拍、血圧など生命維持に関わる部位といわれます。
神経回路は、複数の神経細胞がシナプスと呼ばれる接続部分を介してつながることでつくられます。そして、細胞と細胞の情報のやりとりは神経伝達物質によって行われます。
神経細胞を教室にたとえると、シナプスは教室どうしをつなぐ廊下で、神経伝達物質は教室の情報をとなりの教室に届けるための伝言メモのようなものです。
伝言メモは、ドーパミン、セロトニン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、GABA(ギャバ)など、届ける情報によって異なります。
年を取ると、このシナプスや神経伝達物質にも変化が現れます。
シナプスは数が減り、つながりが弱くなります。神経伝達物質も分泌量が減ります。教室どうしをつなぐ廊下の数は少なくなり、伝言メモも頻繁に届けられなくなるということです。
つまり、細胞と細胞の情報のやりとりがスムーズにいかなくなることで、神経回路の減少につながるのです。
もっとも、多少の変化であれば、加齢による脳の老化は自然な変化。そのレベルの萎縮なら、日常生活に大きな支障が起きることはありません。
※本稿は『こうして脳は老いていく』(アスコム)の一部を再編集したものです。
『こうして脳は老いていく』(著:遠藤英俊/アスコム)
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