音楽は聴くより「歌う」「演奏する」ほうがいい
音楽は心を元気にしてくれる素敵なものです。
好きな曲を聴くと、気分が良くなったり、懐かしい思い出がよみがえったりします。しかし、予備脳を強くするためなら、音楽を聴くよりも、「歌う」「楽器を演奏する」ほうがおすすめです。
なぜなら、歌ったり演奏したりするほうが、脳のいろいろな部位を使うことになるからです。
もちろん音楽を聴くだけでも、脳は使います。
好きな曲を聴くと、音を処理する側頭葉にある聴覚野が働きます。聴覚野が活性化すると幸せな気持ちにしてくれるドーパミンという物質が分泌されるため、ストレスが減り、気分が良くなります。
しかし、聴くだけだと、よく使われるのは聴覚野だけ。
それに比べて、歌ったり楽器を演奏したりすると、使われる部位が格段に多くなります。歌うときは、歌詞を思い出したり、リズムに合わせて声を出したり、メロディを感じたりしなければなりません。
楽器を演奏するときは、楽譜を見たり、指を動かしたり、リズムを刻んだりしなければなりません。
つまり、歌ったり演奏したりすると、音を処理する部位だけでなく、記憶や言葉、視覚、運動などに関わる部位も同時に活発になるということです。
国内の研究でも、歌や簡単な楽器を使った音楽療法が、高齢者の記憶力や注意力の改善に効果があることがわかっています(島田裕之ほか、東京都健康長寿医療センター)。
また、ある研究では、ピアノを半年練習した高齢者が、物事を計画したり覚えたりする力がアップしたという報告もあります。