気軽に始められるカラオケ(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

情報伝達の最上位中枢器官で、全身の機能を統合・制御する司令塔<脳>。脳の部位は一度衰えるとなかなか回復しない反面、実はバックアップ機能を備えているそうで「元気な神経細胞によって、落ちた記憶力をカバーすることができる」と話すのが、老年病と認知症の専門医・遠藤英俊先生です。今回その遠藤先生の著書『こうして脳は老いていく』より、何歳からでも遅くない脳がよみがえる方法を紹介します。

いつもよりちょっとだけ「おしゃべり」になる

おしゃべりも予備脳を強くする素晴らしい方法です。

毎日、家族や友人、近所の人とちょっとした会話を楽しむだけで、脳にはうれしい刺激になります。

誰かと話すとき、脳はフル回転します。相手の言葉を聞き、意味を理解して、自分の思いを言葉にし、ときには笑ったり共感したり。こうした一連の流れは、記憶力や考える力、感情などをつかさどる機能を刺激します。

日本の久山町研究(九州大学)によると、60歳以上の高齢者を長年調べた結果、話し相手が少ない人は認知症の発症リスクが1.5倍高いことがわかりました。

海外の研究では、家族や友人とよくおしゃべりする人は、認知症のリスクが40%も減るという報告もあります。

おしゃべりは、脳の筋トレのようなものなのでしょう。話せば話すほど脳に負荷がかかり、脳がどんどん活性化するということです。

おしゃべりは心にもいい影響を与えます。

誰かと話すと、なんだかほっとしませんか?

それは、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンやドーパミンが分泌されるからです。ストレスを減らし、寂しさや落ち込みをやわらげてくれます。

東京都の研究によると、1日に2時間くらい人と話す高齢者は、気分が落ち込むことが少なく、幸せを感じやすいそうです。