世界から注目される児島デニムの高度な職人技
経年変化で自分だけの一本に
魅力的なファッションアイテムは、時間をかけて使い込むうちに、持ち主の生活や時間の流れが刻まれて、いい味が出るようになります。エイジング(経年変化)によって見た目を変えることのできるデニムパンツは、その代表格でしょう。
デニム愛が強い人からすると、デニムは「育てる」ものです。デニムには、持ち主の穿き方や動き方が、色落ちというかたちで表れます。時間をかければかけるほど、その変化は強く刻まれていきます。
たとえば、太ももや膝、ポケットまわりなど、動きやすい部分のインディゴが薄くなることで、自然なグラデーションができます。こうした変化のうち、「ヒゲ(太もも周辺の横ジワ)」や「ハチノス(膝裏のシワ)」は特に重要視されています。
また、アタリを好む人もいます。生地の折れ目や縫い目、ポケット、裾などが立体的に擦れて白っぽくなってくる状態です。これも、持ち主だけの穿きジワとして評価されます。
それに長年穿くことで、デニムは体に馴染んでいきます。最初は硬かったデニムが、体の動きに合うよう馴染んで柔らかくなる。これも味のひとつです。
穿き込めば穿き込むほど、持ち主にとって価値が上がりますし、愛着もわいていきます。だからこそ、デニムは世界中で愛されているのでしょう。かくいう私もデニムが好きで、よく穿いています。
デニムと言えばリーバイスやリーなどアメリカブランドが有名ですが、日本でも高品質なデニムが生産されています。日本ではアメリカ文化の影響を受けて、1950年代からデニムが流行しはじめました。特に1960〜1970年代には若者文化として定着します。この頃に、日本製デニムはつくられるようになりました。
日本製のデニムは、染料ののり方や織り方にこだわってつくられています。そのため、穿き込むほどに「いい味」が出ます。その魅力を、順にご説明していきましょう。