比べてわかる高品質の秘密
YKKが高い技術を誇る理由。そのひとつは、生産体制にあります。YKKは「一気通貫生産」を掲げ、材料開発からファスナーの製造、染色、仕上げまでを自社内で行います。これにより、品質管理が徹底され、ロットによる品質ブレが極端に少なくなるのです。
一方、中国メーカーの多くは部品や工程を外注しており、全体の品質コントロールが難しくなる傾向にあります。また、価格優先で安価な素材を使用するケースも多い。しかしそのせいで、長期間使うと変色や破損が発生することもあります。スライダー部分の金属疲労やテープ部分の摩耗などは、そのいい例です。
品質面では敵わないことから、色数で勝負をかけてくる中国メーカーもけっこうあります(これはファスナーに限らず、テープやゴムなどにも言えますが)。YKKより安い価格で、何倍も多い色数をつくる。たとえば同じゴールドでも、色味が黄色に近いものから白に近いもの、光沢のあるものないもの、くすみの違いなどを出しています。
とはいえ、色よりも品質が求められる世界なので、アピールになっているかと言えば、微妙なところだと思います。
なお、ファスナーにYKKと刻印されていたとしても、すべて日本でつくられているとは限りません。YKKはアメリカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、スリランカ、カンボジアなど、世界70以上の国と地域に拠点を持つグローバル企業です。1990年代からは中国にも進出しており、広東省、上海、浙江省などに製造拠点を構えています。そのためファスナー本体にYKKと刻印されていても、中国のYKK工場でつくられた場合は中国製となります。
ただし、設計や品質管理は日本のYKK本社の基準に基づいているため、品質は信頼できます。