生産数で追い上げる中国企業

YKKの高い技術に挑戦できる中国企業は、今のところありません。

ただ、中国には非常に多くのファスナー企業があります。その数は数千社以上と言われています。業界規模が非常に大きいため、企業のレベルや品質管理体制には非常に大きな差があります。国際基準を満たす大手メーカーもあれば、激安の代わりに品質にリスクが高い小規模なローカル工場もある。生産数が非常に多いため、市場には中国製ファスナーが至るところに出回っています(もっとも、ランクの高い企業でも、YKKの技術には大きく劣ります)。

ファスナーは小さなパーツではありますが、品質が高いものは価格も高いので、単価の安い服にはそれなりのファスナーしか付けられません。その需要を、中国製ファスナーが満たしているというわけです。

ユニクロのような、製品ロットが大きく大量に生産できるブランドは、製品単価が安くなるのでYKKのファスナーを使える場合もあるでしょう。しかし、中国の工場では人件費が高騰しているため、ファスナーなどの素材の価格を抑えようとする動きが、業界全体で広まっていくと思います。

今後、中国のローカルファスナーが増えてくるのは、間違いないです。あとで後悔しないよう、ファスナー付きの服を購入の際は、これまで以上にしっかり確認することをおすすめします。

※本稿は、『なぜ日本製の服は着心地がいいのか』(彩図社)の一部を再編集したものです。

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